-公益財団法人 古都飛鳥保存財団ANCIENT CAPITAL ASUKA PRESERVATION FOUNDATION

ENGLISH

HOME  >   お知らせ  >   「飛鳥レンタサイクル誕生物語」 第1期飛鳥応援大使 後藤啓一

お知らせ・イベント情報INFORMATION

2019/12/13古都飛鳥保存財団情報「飛鳥レンタサイクル誕生物語」 第1期飛鳥応援大使 後藤啓一

飛鳥レンタサイクル誕生物語

                第1期飛鳥応援大使 後藤啓一

 

 ご承知のように飛鳥史跡は周囲約4キロぐらいあり、ハイキング姿で1日かけてのんびり歩いて史跡めぐりするのが

私は一番好きなのですが、昭和45年頃だつたと思いますがマイカーブームのはしりで史跡内の狭い道にも自動車が

入りこむような状況となり、それでは、飛鳥史跡を自転車で巡ってはどうかと思い立ち、電車+レンタサイクルで

巡るお客様を誘致するアイデアが出てきました。

 それまで飛鳥地区には自転車屋さん(岡寺駅前)はありましたが、貸し自転車屋さんは1軒もなく、私は飛鳥駅前または

岡寺駅前でレンタサイクル店を開業できる人を捜していました。勿論、開業するには、駅前に貸し自転車50台から100台

ぐらい並べられる土地、建物と自転車が用意できなければなりません。

 

 私は当時、近鉄の旅客誘致セクションにおりまして、この企画をその時の上司に上げました。上司の意見は、即座に

次のような反対意見でした。駅前で近鉄または関係会社が直営でレンタサイクル業なんてできないし、第一そんな損をするかもわからない新規事業をやってくれる奇特な人もいないだろう。それに、自転車に乗つていて、怪我でもしたり、

また悪い人がいて、乗り逃げされたり、ちゃんと返却してくれなくて、盗難になつたりしたらどうするのか。いわゆる、

新しいことはしたくないすべてマイナス思考の考え方であります。

 

 そこで、私は「その奇特な人を捜してきます。そして、自転車での傷害と盗難保険を関係会社の登喜和商会(現、近鉄

保険サービス)で考えて貰います。」と言い、何とかこの企画を通してもらいました。幸い大淀町に住む人で、岡寺駅前に

土地建物を買ってレンタサイクル業を始めたいという田中さんという方が現れ、昭和45年の秋頃、取り敢えず50台の

貸自転車を揃えて「飛鳥サイクリングセンター」として、オープンしました。貸自転車料金は1日1000円で、近鉄としては、割引のレンタサイクル券に往復乗車券をセツトした「飛鳥サイクリングクーポン」として近畿日本ツーリストの

大阪市内営業所で売り出しました。売り出し後、秋の行楽シーズン期とあって評判を生み、平日はともかく、土日祝は

自転車の取り合う状況となり、急遽、100台の保有に増やしたほどでした。

 

 そして昭和47年3月飛鳥に衝撃的な出来事が起こります。ご承知の高松塚古墳壁画の世紀の大発見であります。この

出来事を契機として、飛鳥の観光大ブームが巻き起こります。飛鳥保存特別措置法の制定、佐藤総理、昭和天皇の飛鳥視察、建設省による国営公園としての大整備など、飛鳥史跡の保存と整備が国の大プロジェクトとして、推進されていきます。このような状況下で、明日香村役場の指導もあって、村の観光公社、老人クラブ等が飛鳥駅前に、また、近畿日本

ツーリストが橿原神宮前駅前と桜井駅前にそれぞれ200数十台規模のレンタサイクル業が続々開業、先発の飛鳥サイクリングセンターも増車し、飛鳥地区に、計千数百台の貸自転車が存在し「飛鳥史跡めぐりはレンタサイクルで・・」が定着するようになりました。今や石造物が点在する飛鳥の田園風景をバックに颯爽と走るレンタサイクルの絵は飛鳥宣伝の代表的

ポスターになっていますし、飛鳥を訪れる小中学校の修学旅行には大いに利用されています。

 

 一方、増えつづけるレンタサイクルは自転車専用道の整備や史跡ポイントでの駐輪場対策、あるいは自転車の乗り方の

マナー問題にも及び、いわゆる「銀輪公害?」といわれる問題点も指摘され、行政サイドでも解決策がかなり図られました。

 このように、地域環境にやさしく健康増進にも良い「飛鳥のレンタサイクル」は今や観光的にも認知され、飛鳥名物と

なつていますが、その誕生には以上のような経緯がありました。

 

お知らせ一覧

このページの先頭へ