飛鳥川(アスカガワ) 日本遺産構成文化財自然
飛鳥地方を貫流して大和川にそそぐ美しい川。現在は川幅が狭くなっているが、古代には水量も豊かで流れが激しく、しばしば氾濫しては飛鳥人を悩ませていた。しかし人々は、この川のすべての風物を愛し、日常の生活感情と結びつけては歌に詠んでいた。それらの歌は万葉集の中に数多く残されている。
稲渕(イナブチ)
飛鳥川を遡ると渓谷に沿って静寂そのものの稲渕の集落に出る。渓流の景観が美しく、古代人が水を祈る儀式を行った所である。近くに張られている「勧請縄」は、豊作や健康を祈って、毎年1月に両岸に張り渡される稲わらの綱のことで、男綱(稲渕)と女綱(栢森)の二つが作られる。夏には朽ちて落ちてしまうが古い民間信仰の資料とされている。
栢森(カヤノモリ)
稲渕からさらに1km上流にある集落で、飛鳥川の源流をなす所。水神を祭る加夜奈留美神社があり、古代の聖地とされていたようである。今も古代の雰囲気をただよわせている。